| と き | 昭和57年10月28日(木)〜31日(日) |
| と こ ろ | 湯田中「水明館」 |
| 授業提案 | 小学校5校(体操、基本の運動(2校)、ボール運動、陸上運動、表現(2学級)、 器械運動(2学級)) 中学校5校(体操、陸上競技、サッカー、バレーボール、ダンス、バスケットボール、 器械運動、柔道) |
| 研究テーマ | 楽しい体育の授業づくりを求めて〜すべての子どもが運動に親しみ、進んでとりくむ体育学習は どうあればよいか〜 @運動の特性を生かした授業の進め方 A楽しい体育における教師の指導 B楽しい体育のカリキュラムと選択制の導入について |
| 大会役員 | 大会長:松田岩男、研究委員長:嘉戸脩、実行委員長:佐野雅孝 研究部長:柳沢重夫、運営委員長:嘉生稀宗、事務局長:山本謙三 |
| 問題提起 | T楽しい体育理解のために 1これからの運動需要の方向と「楽しい体育」 ・生涯にわたる運動欲求と運動の必要性の増大。 ・生涯にわたって運動に自発的・自主的に取り組める子どもの育成。 ・体育の学習・指導は子どもたちの運動への欲求や必要が、運動の自発的・自主的な学 習を導くように計画されなければならない。 ・運動の内在的価値を追求することによる、運動参加への自発性・自主性を育む体育であ ると同時に、子どもたちの発達期に応じた課題を解決し、子どもの全人的な発達をもたら す体育。 ・生涯にわたる運動参加への準備と発達のために、運動の楽しさを求め自ら工夫し、自ら の力で運動を楽しめる子どもを育てる。 2楽しい体育への手順〜教育的な価値との関わりから方向付ける配慮〜 (1)学習の目標・内容のとらえ方 ・学習の目標・内容は運動の特性によって規定される。 ・運動の機能的な特性のとらえ方が求められる。 ・学習内容の選定は子どものレディネスと全人的発達を配慮して行う。 →小・中・高カされるリキュラムの検討 (2)運動の特性について @運動の機能的特性にもとづく運動の分類 ・どんな欲求や必要を充足する機能をもっているかという視点。 欲求充足の側面から 挑戦欲求→スポーツ 他人への挑戦(競争型)個人、集団 自然や人工物的障害への挑戦(克服型) 記録・フォームなど観念的に定めた基準への挑戦(達成) 模倣・変身欲求→表現・ダンス リズム型、模倣遊び型、フォークダンス型、創作ダンス型 必要充足の側面から 体の必要の種類に応じて分類 A運動の一般的特性 ・種目の機能的な特性を明らかにし、単元計画と学習のねらいを方向付ける手続き。 ・構造的側面、論理的側面、マナー、人間関係等が明らかにされる必要がある。 ・単一でなく普遍のものでないから、複数の機能的特性についても明らかにする必要があ る。 B子どもから見た特性 ・意欲、関心、技能、人間関係等の程度や状況を明らかにすることにより、学習者の自発 性・自主性を導く運動の取り上げ方を具体化する手続き。 ・学習者の能力やレディネスの幅が明確になり、それに応じた、学習のねらいやみちすじ( 過程)を具体的に設けることができる。 ・興味、関心、願い、希望、運動経験、運動知識、障害条件、人間関係、マナー、個人差等 (3)運動の楽しさについて @プレイ論と楽しさ ・ホイジンガ→プレイの本質は面白さを求める欲求にある。 ・カイヨワ→四つの根元的な欲求(競争、運・偶然、模倣・変身、めまい) ・スポーツや表現・ダンスは面白さ、楽しさを追求する欲求に基づくプレイ。 ・カイヨワ(六つのプレイの要件)→@自由性、A時間・空間的分離性、B規則性、C未確 定性、D虚構性、E非生産性 ・体育の学習指導でスポーツや表現・ダンスの楽しさを味わわせるために、プレイの要件 大切さを再認識しておく必要がある。 A楽しさの流れの発展構造(フローモデル)理論と学習過程 ・チクセントミハイのフローモデル→学習者の能力と運動の楽しさの道筋(過程)。 ・楽しさの流れは挑戦者の能力と挑戦水準とのバランスによって保たれる。楽しさを求めて 能力と挑戦水準が高まる。→学習過程に。 ・学習者のレディネスの幅に対応するだけの挑戦水準(学習のねらい)の幅(めあて)が用 意される→運動の楽しさを求めて自発的・自主的な学習活動の展開。 B運動の楽しさの教育的機能 ・生涯スポーツにつながる運動を愛好する、運動参加への自発的・自主的な態度を育てる ・体と心をきたえる機能〜全人的な発達〜 課題を克服・達成するための創意、工夫、練習への不断の努力(強い意志)。 ・健康を損なうような過度の練習、勝利志向にによる排他的態度、他者の楽しさを奪うよう な態度等への、適切な指導や配慮が必要である。 (4)学習のねらいとめあて(過程=みちすじ) @学習のねらい ・学習活動のだいたいの方向づけであり、子どもから見た特性により導かれる。 ・学習者の個人差を吸収したものであり、学習活動と同じ方向に向かわせるような共通性 を持つものである。 A学習のめあて ・幅のあるねらいを学習者のレディネスのレベルに応じて2〜3の下位のねらいに分けて 示すことが必要になる。これをめあてと呼ぶ。 ・学習者の個人差の幅に応じて「楽しさの発展構造」から段階的に示され、学習のみちす じを形成する。 ・まず、今持っている能力でできる事柄。→より工夫してできる事柄。と順次設けられること になる。 ・学習者のレディネスの変化に応じ、柔軟に変更されるべきものである。 (5)運動の機能的特性からみた運動の学習過程(学習者のレディネスに応じた運動の楽しみ 方や必要の充足のしかた)のめやす ○自分の力を知り、今できる運動を行う→工夫を加えて運動を行う ・競争型:やさしい競争を楽しむ→工夫して競争を楽しむ ・克服型:やさしい障害と運動の仕方で楽しむ→工夫した障害と運動の仕方で楽しむ ・達成型:やさしい基準に挑戦して楽しむ→難しい基準に挑戦して楽しむ ・模倣・変身型:やさしい対象に簡単な模倣の仕方で楽しむ →難しい対象に難しい模倣の仕方で楽しむ ・体操:やさしい理論に基づく原則的な行い方を理解する →必要に応じて運動を工夫し、行えるようになる (6)楽しい体育の単元計画の形式例 単元(運動種目が入る) A運動の特性 a運動の一般的特性 b子どもからみた特性 B学習のねらいとみちすじ a学習のねらい b学習のみちすじ ・めあて1〜・めあてX (7)学習と指導の展開 ・はじめ:どんな運動をどこでだれとどんなことを考えて行えばよいか分かるようにする。 ・なか:楽しみを求めて、どんな工夫をすればよいかが分かるようにする。 ・まとめ:子どもが自分の力を知り、みんなで楽しむためにどうすればよいかまとめられる ようにする。学習と指導を整理し、次の単元を計画する具体的な資料にする。 U楽しい体育の当面する課題 1各運動領域の学習・指導をめぐる問題 (1)基本の運動とゲームの領域 @特性の不明確さが単元化を困難にしている。→特性の明確化 (2)ボール運動(球技)の領域 @学習のねらいとめあてを種目毎に具体化する。 A個人差を吸収した人間関係の学習の具体化の検討。(マナーから技術へ) (3)器械運動の領域 @克服と達成をめぐる学習のねらいと過程の混乱。(レディネスに即して) A個々の子どもの自発的・自主的な活動を生み出すグループのあり方。 Bマット運動や鉄棒運動の単技と連続技をめぐる問題。 C達成型学習の様々な工夫の検討。 (4)陸上運動(競技)の領域 @競争か達成か、克服やあるいは組み合わせかの問題。 A記録の高まりや競争で勝つことの困難さからくる学習過程の検討。 (5)表現運動・ダンスの領域 @単元化につなげる機能的特性の共通理解。(大まかであったり不明確) A分類と内容の検討。内容をどう単元化するか。 (6)体操の領域 @体操の特性や授業に対する共通理解の不足。 A体操の分類と内容の明確化→単元構成→具体的な方法 2「前年度の研究委員会」の研究課題のまとめ (1)学習内容(種目)を単元構成の視点から選定し、一般的特性と学習過程のモデルを作る。 @低学年基本の運動領域の内容ついて、精選の必要性。 A他の種目では、機能的特性の違い、学習過程が不十分。ダンス等は内容論的な検討が 不足。 (2)楽しい体育におけるグループ学習の位置づけを明確にし、運動の特性論と学習形態論を 再検討する。 @基本的な考え方は出されたが、統一的視点になっていない。 A楽しい体育の中で役立つ学習形態の研究をグループ学習も含め、論理的に検討する必 要がある。 (3)中・高校における選択制への移行とそのモデルを具体化する。 @積極的支持への論理展開が必要である。 A体育におけるカリキュラム論の検討につながる。 |
